わかりやすい経営コラム ~経営者の皆さまへ~
 

 part8「事業領域(ドメイン)②」

 ドメインの範囲が狭すぎる場合や広すぎる場合のデメリットのうらがえしは、ドメイン定義のメリットであるとも考えられそうです。「環境変化に素早く対応できる」、「事業の幅が広がる」、「経営資源が集中する」、「焦点が明確になる(お客さんに対しても認知されやすい)」などです。

では、具体的にドメインを決定するための要素についてのお話をしたいと思います。

 経営学者のエイベル(Derek F. Abell)さんは、「ドメインを決定するための要素は3つあるのだ!」といいました。ドメインをつぎの3つの次元で規定したのです。

「顧客(標的顧客)」
「機能(顧客機能)」
「技術(独自技術)」(「技術(独自技術)」は、よく「資源(経営資源)」におきかえて考えられます)


 また、これらの要素は、わかりやすくするためにつぎのような表現をされます。

 「顧客(標的顧客)」customerwho⇒「だれに」
 「機能(顧客機能)」functionwhat⇒「なにを」
 「技術(独自技術)」technology(「資源(経営資源)」resource):how⇒「どのように」

 これならかんたんにできそうです。鈴木パン店の店主である鈴木さんに考えてもらいました。

「だれに」:お客さんに

 「なにを」:パンを

 「どのように」:お店でつくって

 とてもわかりやすいですね。では、わたしも事業をはじめるつもりでドメインを定義してみます。

 「だれに」:みなさんに

 「なにを」:おかしを

 「どのように」:ネットショップで

 よし、できました。このような感じでしょうか。

 ドメインの決定は、「経営戦略」を策定するために、どの領域で活動するのか、どの領域で活動すれば成功できそうなのかということを明確にするためのものです。

鈴木さんとわたしのドメインはいかがでしょうか。これでは「完全競争市場」での戦いになってしまいそうですね。もうすこし考える余地がありそうです。また、便利でかんたんにはじめられるものは、ほかの人たちにとってもかんたんです。そこで成功すればするほどたくさんの人が市場参入してきます。市場に「同じ方法」で「同じ価値」を提供する人が増えるとどうなるのでしょうか。価格競争がはじまってしまいそうです。

ドメインは、「他社と異なる方法」や「他社と異なる価値」(「経営戦略」)を意識して定義したいところですね。

提携中小企業診断士 岩田 岳  





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