前回は、ポジショニングアプローチ(positioning approach)と資源アプローチ(resource based
view)についてのお話をしました。「経営戦略」を策定したり、ドメインを定義したりする場合には、外部環境と内部環境それぞれに着目したいところです。
このような場合、みなさんの会社(事務所、お店など)やその業界について、現在どのような環境にあるのかということを考えてみる必要がありそうですね。
まずは、外部環境を分析するための、とても有名な「業界の競争構造分析」についてのお話をします。
経営学者のポーター(Michel E. Porter)さんは、「収益を稼ぐうえでの競争要因は5つあるのだ!」といいました。業界の競争構造を分析する手法として5フォース・モデル(five forces)を考えたのです(Wikipedia「ファイブフォース分析」)。
経営学者のポーター(Michel E. Porter)さんは、つぎの5つを競争要因として考えました。
★「業界内の競争(industrial competitors)」
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いままでのお話のように、競合企業の数が多ければ競争は激しくなってしまいますよね。これは価格競争になってしまう要因としても考えることができそうです。田中パン店と鈴木パン店がある町では、パン屋さんが増えて競争が激しくなりました。この場合は、業界内の競争が脅威となります。 |
★「供給業者の交渉力(suppliers)」
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たとえば、みなさんの会社(事務所、お店など)が取り扱っている商品の製造や販売に欠かせないモノがあるとします。自社ではつくることができません。これを供給できる会社が数社しかない場合やみなさんの会社の購買量が少ない場合は、その供給業者の交渉力が脅威となります。 |
★「買い手の交渉力(buyers)」
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たとえば、みなさんの会社(事務所、お店など)が売上を特定のお客さんに依存している場合やお客さんの購買量が多い場合などは、その買い手の交渉力が脅威となります。「この値段じゃないと買わないよ!」などといわれたら困ってしまいますね。
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★「新規参入業者(potential entrants)」
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とくに、かんたんにはじめられる事業(参入障壁が低い業界)であれば、新規参入業者が脅威になりそうです。そのうえたくさんの利益がでそうな業界であれば、続々と参入してきます。たとえば個人でこれから起業する場合、あらたにネットショップをはじめるのはかんたんですが、鉄道事業をはじめるのは大変です。 |
★「代替品(substitutes)」
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かわりになる商品(代替品)が存在する場合は、その代替品が脅威となります。「どこでもドア」が発売されたら、流通業界をはじめ、さまざまな業界に影響がありそうですね。スマートフォンできれいな写真が撮影できるなど、このような技術革新による代替品も多いようです。 |
「経営戦略」を策定したり、ドメインを定義したりする場合には、環境を分析します。ここでは、これら5つの競争要因を評価して、その外部競争環境を分析します。
この分析では、それぞれの脅威が小さい場合に「その業界は魅力的だ!」と判断します。では、それぞれの脅威が大きい業界はどうでしょうか。それらの脅威を回避して、利益がうみだせるようにする「作戦」が必要になりそうですね。
提携中小企業診断士 岩田 岳
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