わかりやすい経営コラム ~経営者の皆さまへ~
 

 part14「経営資源(VRIO)」

 つぎに、内部環境に着目して、みなさんの会社(事務所、お店など)の経営資源について考えてみましょう。内部環境の分析です。

 経営資源は、よく「ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ」などと表現されます。経営学者のバーニー(Jay B. Barney)さんは、経営資源をつぎのように分類しました。


 「財務資源」
利用することができる金銭的な資源です。自分でもっている「おカネ」だけではなく、銀行から借りることができれば、その「おカネ」も財務資源です。

 
「物的資源」
利用することができる物理的な資源です。パン屋さんであれば、お店やパンをつくるための道具、田中パン店で田中さんがお店に用意したテーブルとイスなども物的資源です。

 「人的資源」

利用することができる人的な資源です。パン屋さんを経営するのもパンをつくるのも「ヒト」ですよね。パンをつくる技術や能力、パンの販売経験なども人的資源です。


 「組織資源」
利用することができる組織的な資源です。パン屋さんを経営する人やパンをつくる人、お店で売る人など、パン屋さんにかかわっている人それぞれが集まってできる資源が組織資源です。

 ここで、内部環境を分析するための、「VRIO分析」についてのお話をします。経営学者のバーニー(Jay B. Barney)さんは、「経済的な価値があって、手にいれることが難しくて、他社にはとてもマネができないような経営資源は、組織として活用することで『持続的競争優位の源泉』になるのだ!」といいました。

 「VRIO分析」では、経営資源についてつぎの4つを評価します。

 V:Value     経済性(経済価値)
外部環境に適応できるものであるかを評価します。

 R:Rarity        希少性
入手が困難なものであるか、すでにほかの会社にあるかどうかを評価します。

 I:Imitability   模倣困難性
ほかの会社にマネができるものか、ほかの会社がそれを入手する場合にどのくらいのコストがかかるのかを評価します。

 O:Organization  組織
その経営資源を活用できる組織・体制であるかを評価します。


 「経営戦略」を策定したり、ドメインを定義したりする場合には、環境を分析します。ここでは、自社の経営資源を評価して、内部環境を分析します。

この分析は、経済性と希少性、模倣困難性の高い経営資源を「持続的競争優位の源泉」と位置づけて、それを組織として活用することで持続的な競争の優位性を築くという発想です。「『経路依存性』が高い」経営資源を他社が保有するのはとても難しいことです。強みとして活用できる経営資源を把握することやそれを構築していくことなども、「作戦」をたてるうえで必要になりそうですね。

 外部環境や内部環境を分析する手法にはさまざまなものがあります。「業界の競争構造分析」や「VRIO分析」はとても有名な分析手法のひとつです。

提携中小企業診断士 岩田 岳 






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